「冷し醤油ラーメン」をご存知でしょうか。「冷し醤油タンメン」ではありません。
冷し醤油ラーメンは池袋(旧西池袋)開店時(2001年)に先代中本正さんより「店舗限定」として池袋にプレゼントされたメニューです。中本が辛さで有名な店なのは先代ご本人が重々ご存知でしょうがなぜ非辛メニューだったのか、冷しラーメン(現冷し醤油タンメン)がありながらなぜ同じ醤油系のつけ麺なのか、凡人には解らない事だらけです。
この冷し醤油ラーメンは「モッサリ」と表現される他では味わえない独特の味で中本ファンには人気がありましたが、当時は醤油のつけ麺というと大勝軒のような少々酸味の入ったタイプが大人気で、昭和のモッサリ感たっぷりの冷し醤油ラーメンは中本に来る一般のお客さんからは不人気でした。しかし、先代の考案したメニューなので大々的に味を変えるわけにもいきません。そこでこっそり酸味を加えて流行りのサッパリした味に近付けました。これが「(新)冷し醤油ラーメン」です。
店舗も増えた中本には新しいお客さんもたくさん増え、非辛メニュー自体があまり出なくなり新冷し醤油ラーメンも池袋店からひっそりと姿を消しました。しかし、時代は流れ古いお客さんからは「あのモッサリした冷し醤油がまた食べたい」とラブコールが続き、池袋店アルバイトだったアキラ店長が西池袋店長に就任した際に復活し、月末に「旧冷し醤油ラーメン」と「(新)冷し醤油ラーメン」を交互に発売してくれました。このメニューを懐かしむ客だけでそんなにたくさん売れるとは思えませんが、キチンと歴史を守ってくれているアキラ店長には本当に中本を愛しているという心意気を感じますね。
こんな歴史があり中本の公式ではどちらも「冷し醤油ラーメン」として発売されますが、モッサリなのかサッパリなのか食べてみないと判らないという不思議メニュー。中本の道では勝手に「旧冷し醤油ラーメン」と「冷し醤油ラーメン」として使い分けています。
激辛だけでなく、非辛でも中本の奥の深さを感じられる名作「冷し醤油ラーメン」。そんな歴史を感じながら険しい中本道の箸休めにプチ北極スープなど付けずに是非食べてみてください。